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婚約破棄で慰謝料が発生する場合

婚約破棄になった場合の慰謝料発生の要件


婚約とは、「婚姻予約の合意」のことであり、契約の一つと考えられます。

婚約が成立すれば、結婚を実現させるため誠実に努力する義務が生じ、お互いに、他の異性と性行為をしないという貞操義務、婚姻の意思に重大な影響を与える事実についての告知・対策をするなどの誠実義務をお互いに負うと考えられます。

相手がこのような誠実な努力義務に反する行動をとった場合には、婚約という契約を不当に侵害したものとして精神的苦痛に対する慰謝料や結婚のための準備に要した費用などの損害を賠償する責任が発生するというわけです。

ただ、婚約に従わずに同居や婚姻届の提出に応じなかったとしても、同居や婚姻届の提出を強制することはできず、損害賠償によって金銭的に解決することになります。


それでは、どのような場合に婚約破棄による慰謝料が発生するのでしょうか。

婚約破棄による慰謝料が発生するのは、

①婚約が成立したこと

②婚約を破棄したこと

③婚約を破棄したことに正当な理由がないこと

という大きく分けて3つの要件がそろった場合です。では、それぞれの要件を見てみましょう。


①婚約が成立したこと

婚約は、一言でいえば、将来夫婦になろうとする真面目で確実な合意があれば認められます。

結納や婚約指輪の授受、結婚式の準備、仮祝言の挙行、両親などの親族・友人への紹介、同棲・肉体関係が必要なわけではありません。

ただ、婚約が成立したことを推認させるものとして有力な事情にはなります。

訴訟になれば、これらの事情があった方が、婚約の成立を認めてもらう近道ですので、婚約の成立に争いがあれば、訴訟以前の交渉段階でもこれらの事情と裏付ける証拠を集めておいた方が良いでしょう。

ただ、婚約が成立していたかどうかは、実際には微妙なケースも多く、個別的な事情から判断するしかありません。

【認められた例】

・高校卒業直後で大学に進学する場合であっても、将来夫婦となる合意のもとに性的関係を結び、その後も性的関係が継続していた他、両親も大学卒業後の結婚を是認していた場合

【認められなかった例】

  

・2年付き合ったら結婚しようという約束しかない場合

・6、7回ホテルで肉体関係をもったが、将来について話したのは肉体関係2回目に「親が反対しても一緒になる」といっただけだった場合


②婚約を破棄したこと

慰謝料は、そもそも婚約が破棄されなければ、つまり将来の婚姻の約束をなかったことにならなければ発生しません。

なかったことにするとは、結婚を少し先延ばしにしたということでは足りませんが、結婚の先延ばしにする期間が長期に及ぶ場合や結婚の約束はなかったことにするが交際だけは続けるといった場合も含むと考えられます。それらの場合には、慰謝料の額が低くなると考えられますが、婚約を破棄していることに変わりはありませんので、慰謝料自体は発生するものと考えられます。

また、婚約の破棄は、婚約破棄の原因をつくった責任がない方がしたとしても、婚約破棄の原因をつくった責任がある方に対して請求することができます。

つまり、婚約を破棄したことという要件が必要であっても、相手から婚約破棄されなければ慰謝料が請求できないというものではなく、婚約破棄の原因を作った方が慰謝料を支払う義務を負うということです。

このように考えなければ、他の異性と浮気をするなどしておきながら婚約破棄を申し出なければ慰謝料を支払わなくていいという不合理な結論になりかねません。


③婚約を破棄したことに正当な理由がないこと

婚約破棄された場合に慰謝料請求できるのは、婚約破棄に正当な理由がない場合です。婚約破棄に正当な理由があれば慰謝料請求は認められません。

正当な理由は、人柄や誠実さ、経済力、精神状態、健康状態などから、努力をしても円満な婚姻生活を営むことができないと思っても仕方がないという事情がある場合に認められるものです。

【正当な理由がある場合】

不貞行為をされた

婚約者以外の異性と性的関係を持った場合です。婚約状態の場合、婚姻状態よりも貞操義務の拘束力は弱いと考えられますので、必ずしも肉体関係そのものに限られないと考えられます。

重大な侮辱を受けた

    

<認められた例>

・婚約中に肉体関係を強要した男性が婚約者の女性に対し、「お前はこれが初めてではないだろう。だから結婚の話は白紙に戻そう。どうしても一緒になろうというのなら、俺が二号、三号をもっても文句を言うな」

   

・男性側の兄が女性側の兄に対し、「大体男というものは女に悪いことがあれば三日にあけず手をあげて殴らねばならぬ」

暴力をふるわれた

実際に殴る蹴るなどの暴力をされれば、結婚生活に不安を覚え、結婚を躊躇してもやむを得えません。

生活の重要な点について隠していた

年齢や名前について嘘をついていた場合、他に子どもがいた場合、相手に重大な犯罪歴があった場合などが考えられます。

婚約後の態度が著しく不誠実

    

婚姻届の提出や結婚式、新婚旅行の計画などについて、合理的な理由もなく延期や変更を繰り返して協力しない場合、異様な言動の結果結婚生活に不安を覚えても仕方がないような場合などが考えられます。

経済力の悪化

    

結婚生活は程度の差はあっても経済的につながる生活ですので、相手が失業したり、勤務先が倒産した場合など経済状態が悪化した場合にはやむを得ません。

とかいった事情があれば、通常は円満な婚姻生活を営むことは難しいと思っても仕方がないといえますので、婚約破棄しても正当な理由があると考えられます。

また相手に責任がなくても

重度のうつ病や統合失調症などの精神的な病にかかった

性的な能力がなかった

とかいった事情がある場合には、円満な婚姻生活を営むことは一般的に難しいといえますので、この場合にも、婚約破棄に正当な理由があると考えられます。

【正当な理由がない場合】

単に気に入らなくなった

相性が悪い

家族が気に入らない

といった事情は、そのように感じている時点で円満な婚姻生活を営むことができるかは疑問ではあるものの、努力によってある程度カバーできるものであり、円満な婚姻生活を営むことが難しいとまではいえず、婚約破棄をしても正当な理由はないと考えられます。


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