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賃貸借契約の更新と更新料


更新料とは


一般に、更新料は、賃貸借契約(借地契約や建物やマンション・アパートの賃貸借契約、土地賃貸借契約等)の存続期間が満了する頃、契約を更新する場合に、賃借人から賃貸人に支払われるお金のことを指します。

マンションやアパート等の建物賃貸借契約の場合、契約書に、更新の際に賃料〇か月分の更新料を支払うなどといった記載があることが多いですが、それです。

一方で、土地賃貸借契約契約(借地契約)の場合には、契約書に書いてないこともありますし、契約自体がだいぶ昔のことで契約内容がよく分からないことも多く、払う必要があるのかどうか疑問が生じることも多いようです。


建物賃貸借契約の更新料

では、実際に更新料を支払う義務があるかどうかという問題です。

ただ、建物賃貸借契約の場合は、あまり問題となることは多くありません。

上記のとおり、建物賃貸借契約の場合は契約書に更新料について定められていることが多く、定められていれば不当に高額でない限りは支払う必要があり、定められていなければ支払う必要がないということになります。

契約の定めも、賃料の〇か月分などとして、更新料の額が具体的に計算することができるようになっているでしょうから、その効力について問題となるケースは少ないといえます。

問題とならないのはそのような理由によるので、例えば、「更新料として更新時の相場によって算定した額を支払う。」といった記載になっていると、そもそも更新料を算定することが難しいので、当事者を拘束する程の法的な合意とまでいえないと考えられます。


また、法的には、契約に定めがない場合でも慣習がある場合には、その慣習にしたがう必要がある場合もあるのですが(民法92条、法の適用に関する通則法3条)、更新料を支払う慣習が存在するとは認められないとするのが多くの裁判例です。

最高裁にも、土地賃貸者契約のケースではありますが、「賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生じる旨の商慣習ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りないとした原審の認定は…(略)…是認することができ」としたものがあります(最判昭和51年10月1日)。

ただ、何十年、何百年、何千年という時が経てば、そういう慣習ができあがっていると認められる可能性はなくはありません。


土地賃貸借契約(借地契約)の更新料


なぜ問題となるのか

土地賃貸借契約(借地契約)の場合、更新料の支払義務があるのかないのか、争いになることが少なくありません。

理由は、建物の所有を目的とする土地賃貸借契約の場合、契約期間は一般的に20年ないし30年と長いことが一因であるようです。

※建物所有目的でない場合の土地賃貸借契約の場合は契約期間もバラバラでしょうから、ここでは当てはまりません。

契約期間が長いと更新の時期が相当先の話になるので、更新料をもらうことにすべきなのか、いくらにすべきなのか不確定のため、更新料について契約に定めなかったり、定めたとしても「相場により算定した額の更新料を支払う。」などとあいまいな定めしか置かないケースが多くなります。

当初の契約時や前回の更新時とは期間が空いていますので、新たに更新するときに更新に関する合意内容を当事者があまりはっきり覚えていないという場合もあります。

また、賃貸人や賃借人の方が亡くなって相続が発生したため、従前の契約関係がはっきりしないということもあります。

このように、建物所有目的の土地賃貸借契約の場合は、建物の賃貸借契約とは異なる要素があるため、問題が生じやすいのだと思います。

更新料に関する合意がない場合

では、土地賃貸借契約(今回は建物所有目的の土地賃貸借契約の場合に限った話になりますので、以下「土地賃貸借契約」は建物所有目的の土地賃貸者契約」のことを指します。)の更新の際に更新料を支払う義務があるかどうかという話に移ります。

まず、更新料について契約に何の定めもない場合ですが、更新料を支払う法的な義務はありません。

これも、上記「建物賃貸借契約の更新料」で書いたとおり、更新料支払いの慣習の存在が認められないということなっています。

したがって、更新料に関する合意がない場合には、賃借人が賃貸人に更新料を支払う義務はないということになります。


それでも、賃貸人の方は賃借人の方に更新料を請求することも多く、更新料を支払う賃借人の方もそれなりにいるのだと思います。

それ自体は特に不当なものでもなく、お互いが納得して円満な関係でいられるなら良いと思います。

ただ、やっぱりお金が絡んでくると、期に乗じて高額な更新料を請求してみたり、拒否してるのにしつこく支払いを求める人も出てくるわけです。

結局は、賃貸人も賃借人も、お互いの関係をどのようにしていきたいか考えながら行動するしかありません。

その上で、更新料を請求するのか、いくら請求するのか、更新料を払うのか、いくら払うのか検討して何らかの答えを出す必要があります。


更新料に関する合意がある場合

更新料に関する合意があるといっても、土地賃貸借契約の場合は一様ではありません。

基本的な考え方としては、合意された更新料の算定方法が明確で、その額が不当でなければ有効と考えられます。

例えば、

といった感じでいろいろな定め方があります。

以下、個人的な見解ですが、

上の3つについては、算定基準が明確なので、その額が不当に高額でない限り更新料の合意として有効であると考えられます。

4番目は、その額が不当でない限り部分的には有効であると考えられますが、じゃあ具体的な金額がいくらというと明確ではありません。

結局は契約の経緯等から具体的な金額が認められるのであれば裁判でも認められるのでしょうが、「1割以下の範囲で当事者の協議によって定める」という程度の趣旨であるということになれば、裁判上請求できるまでの合意ではないように思います。

5番目と6番目については、もはや算定基準が曖昧で、合意したといっても具体的にいくらなのか、または、どのように算定するのかが分かりません。

この場合には、更新料の合意としては法的に有効とは考えられず、更新料の合意がない場合と同様、お互いの関係を考えながら双方が検討して答えを出すしかないと考えられます。


合意更新と法定更新


その他、更新料について定めがあるという場合でも、それが合意更新だけでなく、法定更新にも適用されるのかどうかという問題があります。

合意更新とは、文字どおり賃貸人と賃借人の間で合意して契約を更新することです。

建物所有目的の賃貸借契約や建物賃貸借契約の場合、更新時期に更新の合意をしなくても、賃貸人が自分で使用する必要性が生じた等の正当な理由がない限り更新拒絶ができず、法律上当然に契約が更新されたものと扱われることになっています(借地法4条、6条、借家法1条の2、2条、借地借家法5条、6条、26条、28条)。

これが法定更新です。


建物賃貸借契約の場合

詳しい内容はここで紹介できませんが、更新料の定めが法定更新にも適用されるとした裁判例も適用を否定した裁判例も、いずれも存在し、判断が分かれているようです。

土地賃貸借契約の場合

土地賃貸借のケースについては、事案があまり見当たらないのですが、

契約書において、更新料について定めてあっても、それは合意更新の場合のみに適用されるとして、法定更新の場合には適用されないとした裁判例(東京地判平成10年12月18日、東京地判昭和59年6月7日)があります。

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